誠信堂徒然日記

まちづくり、地域のこと、旅行記、教育や社会問題等徒然と。

2018年元日新聞比べ読み

再開した元日の新聞比べ読みも3年目。それにしても元日の新聞入手が困難になってきたのはなんとかならないものか。

今年は平成30年、天皇退位も来年に控え、「平成」の世相を振り返る紙面が目立つ。

朝日はずばり「平成とは」というタイトルの特集。元日紙面は矢沢永吉インタビューがトップで2面に音楽・映像・書籍、カラオケ、写真の平成のライフスタイルの変化を比べている。その大きな違いが「”みんなで”から”一人一人”へ」。文中、國分功一郎は、ハンナ・アーレントの「孤独と寂しさは違う」という言葉を引いている。そして、「孤独とは、私が自分と一緒にいること。自分と一緒にいられない人が淋しさを感じ、一緒にいてくれる他者を求める。だから自己と対話が出来ない。孤独にならなければ人はものを考えられない。孤独こそ現代社会で失われているもの」だという。「一人一人」の時代だが、自己と対話できているか、という指摘が鋭く響く。

讀賣は、協賛しているイベントがあったり、平昌五輪を間近に控えていることもあるが、スポーツ関連の紙面がやたらと目立つ。その中で面白かったのは「新春対談2018」という3日付との連載記事。国際日本文化研究センター准教授の磯田道史氏と読売新聞本社特別編集委員橋本五郎氏の対談。二人は奇しくも「年男」。歴史との対話の中で「今」を知るという見出しで、興味深い内容。2017年の森友学園加計学園問題で「公文書の破棄」が話題になったが、「長い目で見ると記録をきちんと残すべきである」という磯田氏の指摘には納得。

毎日はトップ記事に、北朝鮮の元外交官が、「拉致問題の解決と引き換えに、日本から巨額の資金援助を受けられることを望んでいる」という単独インタビューを掲載。社説は「国民国家の揺らぎ」。アメリカのトランプ大統領が打ち出す「米国ファースト」、スペインや英国、ベルギーで起こっている独立問題を引き合いに、国民国家の枠内に押し込まれた民族や地域の違和感について述べ、日本も例外でなく、沖縄を追い立てるような風潮に警鐘を鳴らし、「初めから同質の国はない」と締めくくっている。

日経はの新年特集は「パンゲアの扉 つながる世界」。グローバリゼーションが大国や大企業だけでなく、小さな国、小さな企業、個人にまで広がってきていることを取り上げている。また「明治150年」という節目の年ということで、明治維新で日本が世界に開かれたことを比較して、「新しい日本」への提案を行っている。ここ数年の日経の記事から見えるのは「改革・開放・開国で経済成長を再び」という主張。日経だから仕方ないが。面白いのは「ここ掘れ!ニッポンの眠れる宝」という連載で、元日付では”複業”についての記事。

産経は「予想通り」とも言えるが、「安倍政権賛美一色」。ここまで来るとすごいが。ご丁寧に「朝鮮半島有事シミュレーション」として2面3面の大半を使って掲載。その中でも社会面の「象徴 次代へ 皇太子さまの問い」は比較的良記事だが、特集からオピニオン、座談会記事まで「ヨイショ」記事が並ぶとさすがにげんなり。

今年も京都新聞は入手できず。図書館かどこかで閲覧することにしよう。