誠信堂徒然日記

まちづくり、地域のこと、旅行記、教育や社会問題等徒然と。

多世代交流と成長


綾部市を舞台に開催された、7月27日の「長〜い流しそうめん&盆踊り大会」、8月2・3日の「綾部こども探偵」に学生と共に参加したので、そのレポート。

 

「長〜い流しそうめん&盆踊り大会

理事長を務めるNPO法人里山ねっと・あやべ主催事業。今年4月に新施設が竣工し、初の大型イベントとなった。

里山ねっと・あやべは、都市農村交流や移住定住に向けた情報提供などについては20年以上の実績があるが、反面、施設が立地する地元とのコミュニケーションという点においては十分とは言えなかった。

今回は、事務局長の発案により、「地元の人たちが楽しめるイベント」というコンセプトのもと実施したのがこちら。

流しそうめんは、森林ボランティアの方々に竹の伐採をお願いし、それを使い落差3.5m、長さ35mの樋を作って、流しそうめんを流した。うだるような暑さの中、ゼミ生2名がそうめん流しに携わったり、夏休みに入った時期ということもあり、子どもたちとさまざまな遊びの相手をしたりした。

そうめん流しを行う

子どもたちと

夕方からは、盆踊り大会。それに先立ち、地元で踊られてきた福知山音頭、綾部踊りのレクチャーを地元保存会の皆さんにしていただいた後、庭に設置された櫓の周りで盆踊り。私が四苦八苦する中、学生たちはメキメキ上達していく。やはり身体の動きとリズム感が違うのだろう。

綾部踊りを踊る

綾部市の公式YouTubeチャンネルでも紹介された。

www.youtube.com

 

「綾部こども探偵」

8月2・3日は綾部市と滋野ゼミとの協働事業である「綾部こども探偵」を実施。

「綾部こども探偵」は、地元の小学生たちが「探偵」となって、綾部の木になるところを「調査」し、それをもとに「報告をまとめ、発表する」という企画。それをサポートする学生は「助手」という役割である。

この事業は前年度に「綾部市の情報発信」について研究する学生2名と市の広報セクションの職員の方とを、コロナ禍のなか、オンラインで意見交換をしてきた中で生まれた事業。「情報発信」を議論する中で、「地元の子供達からの情報発信ならば、大人も見るだろう」と考え、子どもたちの綾部の情報発信を、市の広報誌に掲載しようという中で誕生したのが発端。

昨年度は学生2名、子どもたちも5名程度と少なかったものの、子どもたちにとっても学生にとっても、そして市にとっても意義ある事業となったため、「定例化していこう」ということに。

しかし今年度は、当時の背景を全く知らない学生が事業を担当する。当然当初はモチベーションも上がらないままであった。

しかし、イベント広報を、地元のコミュニティFMでさせてもらったのを皮切りに、徐々に担当メンバーが集まり出した。それでも「何をすればよいかわからない」「(訪綾の回数が少ないこともあり)綾部のことをよく知らない」学生たちが担当することについての一抹の不安はあった。

そこで、「子どもたちも、学生たちも共に学ぶ」という方針で進めることにした。

今年度は「探偵(小学生)」9名、「助手(大学生)」8名という、昨年よりも多いメンバーが集まった。

各訪問先では、「探偵(小学生)と助手(大学生)」が、良いコミュニケーションを取れており、当初の心配は杞憂となった。中には、ある学生をとても頼ってくれる小学生もいたりして、学生たちもまんざらではない様子。

あやべバラ園にて

黒谷にて

里山交流研修センターにて

イカ割りの様子

2日目は、初日の訪問先のメモをもとに「調査報告書」を作成し、発表するするのだが、この「報告書」が、そのまま夏休みの自由研究にも使えるというものにした。昨年度は模造紙にグループで「壁新聞」のように作ったので、持って帰ってもらうことができなかったという課題を踏まえ、今回はA3サイズの紙に文章と写真やイラストを入れ、一人一人が作成するというもの。これが功を奏し、小学生たちは自分のペースで仕上げることができるし、学生もほぼマンツーマンに近い形で、作成のアドバイスを行なっていた。

ここでも、特に詳細な指導はしていないのだが、ヒントを出したり、書き方へのアドバイスをするなど、自分たちなりに工夫して小学生に伝えている姿を目にすることができた。

 

両事業を終えて

今回、「長〜い流しそうめん&盆踊り大会」「綾部こども探偵」に参加、実施してみて思ったのが、やはり、日常と異なる人たちとの交流や協働作業は学生の成長を促すということ。

前者では、流しそうめんや遊びに来た近くの子どもたちばかりでなく、踊りを教えにこられた方や、地域住民の方、NPOの事務局の方とのコミュニケーションが、そして後者では、2日間、子どもたちと学生とがほぼマンツーマン、「ガチで」接するという経験を通じて、ずいぶん成長したように思う。

また、地元から見ても、高校を卒業し、進学や就職のため、多くの人が出ていってしまうため、20歳前後の若者の数が極端に少ないということもあり、小学生から見れば「お兄さんお姉さんのような」、地域の高齢者の方から見れば「孫のような」世代と接することは良い刺激になるのではないかと考えている。

親や先生といった「タテの関係」、友だちといった「ヨコの関係」だけでなく、「ちょっと年上、家族親族ではない若者」といった「ナナメの関係」ができることで、良い刺激になっている。

一方の学生にとっても、日常生活での人間関係はそんなに広いわけではない。そんな時、普段とは違った年代、属性の人たちとの交流は、自分の視野を広げ、異なる価値観を接する絶好の機会なのだと思う。

毎年、学生たちが「合宿で一皮剥ける」と感じているが、9月に実施する5大学の合同合宿「インターゼミ」でさらに「一皮剥ける」のが楽しみである。