誠信堂徒然日記

まちづくり、地域のこと、旅行記、教育や社会問題等徒然と。

身体を通じた経験

青木真兵・海青子『彼岸の図書館』を読んでいる。研究者でもある著者が奈良県東吉野村に開いた「人文系私設図書館ルチャ・リブロ」に注目している。

lucha-libro.net

この本の著者たちは、「街の生活で体調を崩し、ほうほうの体で東吉野村へ逃げ込」み、そこで「家を開いて図書館を作ったことで元気になっていった」のだという。
私は、書店や図書館、美術館など、教育や文化の拠点が都市部と比べて圧倒的に少ない地方において、私的なスペースを開き、それを用いて公共財としての文化的拠点を作り、そこに多くの人が集い、知の交換を行い、学びの場を地域に生み出し、そうすることによって、どんな地域であっても文化が生まれるということに興味がある。私が綾部に家を借りたのも、そうした場を作りたいという思いからだ。
 
さて先日、ゼミ生の成果物の入稿締切が間近に迫る中、足りない写真を探しに綾部に出かけた。今年度はコロナ禍により、大学生活は通常の半分もできていないように思われる。確かに、オンライン授業の方法は慣れも手伝い、年度初に比べればずいぶんブラッシュアップされてきた。ゼミも秋学期には再開したが、フィールドワークは結局思ったように行うことができず、現地に赴いたのは1回程度、あとはオンライン等によるインタビューが1回程度、といった具合だ。
成果物に掲載する写真やテキスト等は地域の方や行政からの提供もありなんとか揃ったが、学生等がアウトプットしたものには何かが足りない。「情報」としては一通り揃っているものの、なにかが足りない。どことなく「平板」なのが気になる。
なかなか出揃わないコンテンツもあり、これ以上デザイナーさんや行政の担当者の方を待たせるわけにはいかないと思い、現地に赴いたのである。
バスを降りると、うららかな春の陽が心地よく、バス停から3〜4kmはあろうかと思う集落までの道を歩くことにした。梅の花が満開を迎え、地面の所々には蕗の薹が顔を出している。田んぼでは田起こしが始まり、土の匂いや陽光の柔らかさからもその地域の魅力や雰囲気を感じとることができた。

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再び『彼岸の図書館』に戻る。
この本の中に、「身体を通じた経験がない現代人」という件がある。そこには、「身体は反射反応のように自分にとってよい方向に動いていこうとするが、意識としてコントロールできない部分がある。そういう存在を知っておくことがすごく大事」ということが書かれているが、里山をてくてく歩く中で、ここの記述が思い起こされ、コロナ禍であまり現地に赴けなかった学生たちの記述の物足りなさとつながったのである。すなわち「身体的な感覚」の不足によるものだったのである。
 
インタビューした内容をトランスクリプト(テープ起こし)したり、テキスト分析したりといった作業はもはやコンピュータに任せることが可能になり、人にとって「面倒な作業」からは解放されることになった。また、インタビューそのものも、現地に赴くことなく、オンラインで十分に行えることがこのコロナ禍で明らかになってきた。
だったら、人が現地に赴く意味、意義とはなんだろうか?私は、「身体を通して何かを感じ取る」ためだと思う。
 
「コロナ禍で地方移住が進むのでは」といった報道が増えてきているが、単に「生活費がかからない」とか「子育て世帯に手厚い支援」ということだけが地方移住の決め手になるのだろうか、という疑問がある。今は感染リスクを避け、かつ在宅ワークが可能になったことで「3密」の都市部を離れているが、アフターコロナはどうだろう。再び「都市回帰」ということはないだろうか?
住む場所の選択は、当然経済合理性によるところも大きいだろうが、選んだその地を「わがまち、わが村」として認識するか否か(それは必ずしも「腰を落ち着ける」ことだけを意味するのではない)は、その人の「生き方」「価値観」が、その地域の醸し出す雰囲気や空気感とぴったり合ったときに「ここだ」という感覚を呼び起こすのではないだろうか。そしてそれは、数値的な指標やエビデンスでは測れない。
 
「うまく説明できないけれど、なんかいい」「他の人はなんとも思わないけれど、自分はすごくいいと思う」といった身体を通じて何かを感じ取ることなのではないか。私が綾部に対して抱く思いもそこにあるような気がしてならない。
 
参考
青木真兵・海青子『彼岸の図書館』夕書房、2019
どこにいても学び続けること 文化的拠点の“ない”場所で 「知」をどう生み出すか考える。

www.hinagata-mag.com

(2021年3月16日閲覧)

2021年元日新聞比べ読み

今年もやります。元日新聞比べ読み。コンビニをはしごしなければ各紙揃わないのがここ数年の傾向。
 
昨年から続く連載記事「共生のSDGs」が面白い。元日はコロナ禍による経済活動や観光の停滞が環境の改善につながってきていることをベネチアとインドのレポートから論じている。そして識者のコメントを集め、「コロナ禍は地球環境への人類の影響を改めて示した」と、大量消費・環境破壊を追い求めた人類への警告とまとめている。
個人的に興味があったのは、「食の向こうに 世界を味わう」という特集記事。イギリスのウナギ料理のこと、そして京都大学人文科学研究所の藤原辰史先生と俳優松重豊の「食」にまつわる対談。藤原先生の提唱している「縁食」はちょっと注目している。
 
読売新聞
トップ記事「中国『千人計画』に日本人」の見出しが目に飛び込んだ。「千人計画」とは、中国政府が世界中の優秀な人材を集めるプロジェクト。昨年の「学術会議の任命拒否」の件でも少し話に出た言葉(この2つを結びつけて語るのは無理な話だが)。そして社会面の1ページの多くにも紙面を割いている。
この「千人計画」、寡聞にして詳細は知らないが、経済成長とコロナ禍を”押さえ込んだ”中国の「自信」、そしてヘゲモニー国家に向けた「野望」(「ヘゲモニー国家にはなれない」という論調も強いが、それはここではひとまず置いておく)、ただ一方で、日本における学術研究費、そして政策の貧弱さがこうしたことを後押ししているとも見ることができる。
そして、毎年恒例「大上段に構えた総花的な社説」。
 
こちらも読売同様、独自の記事がトップ。「中国『闇』ワクチン日本へ」というややショッキングな見出しが目を引く。中国で製造したとされる新型コロナウイルス感染症の未承認ワクチンが日本に持ち込まれ、企業経営者などの一部の富裕層が接種を受けていたというもの。
未承認のワクチンを富裕層が接種していたという「健康と安全を金で買う」ということ、ワクチン開発の国際競争、ここでは中国の経済圏構想「一帯一路」という、やはり中国の政治・経済・外交上の存在感が日増しに大きくなっていることなど、論点はたくさんあるが、感覚的に「気分の悪い記事」であった。
一方で、関連記事として、東京都立大学詫摩佳代先生の「コロナの感染収束と経済回復はワクチン分配を巡る格差解消が必要」という論には救われる。
また、社説では民主政治の回復について、また有識者新春座談会では多様性と、今日の国際社会において退潮気味の価値観について今一度見つめ直すような論調には賛同できる。
 
こちらのトップは何と毎日の論調とも重なる「民主主義」。だが、よく読むと、「中国型の権威主義、強権政治」が南太平洋の島嶼国家で広がっていることを懸念する内容。そしてトップの論説は「中国共産党をもう助けるな」。論説委員長は、かつて自称「親中派」だったそうだが、1989年の天安門事件で、西側諸国が強硬な態度を取る中、唯一日本だけが中国に寛容であったことに業を煮やしたこと、そして今、再び同じ「愚」を日本が繰り返しているという内容。
 
元日から始まる連載「第4の革命 カーボンゼロ」がトップ。昨年、日本も2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにすると宣言したのを受け、農業、産業、情報に注ぐ「第4の革命」と位置づけ、技術革新による温室効果ガスの削減を後押しする論調。もう、10年後には自動車の姿も変わっているのだろうということはおぼろげながら感じることができるが、一方で行き過ぎた資本主義や人間の止まることのない欲望をいかにコントロールするかのオピニオンは、現時点では見られない。
他方、面白かったのが社会面。「Discover70's」では、ドラマから見る家族の形の変化を、「新たな一歩今踏み出す」では、コロナ禍で自分を見つめ直し、新たな道を歩み出した人に焦点を当てている。昨年、東京都の人口が久しぶりに流出超過になったというニュースが出回ったが、ここでも「地方移住」についての話が出ている。
 
全国紙のような「国際問題」「大上段」の記事は少ないが、トップの「コロナ社会ディスタンス 結び直す」の「地方移住」に関する記事が目を引いた。
新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに、さいたま市から綾部市へ移住した家族や横浜市に住む、舞鶴市出身の会社役員が舞鶴市内に開設したコワーケーションスペースに関心を示しているものの、移住は難しい、といったことが書かれている。
さらに社会面にも関連記事として「”田舎”魅力は濃密」というタイトルで移住支援とその実際について紙面を割いている。
現在の研究と教育のテーマがまさにこれ。今後の連載に注目したい。
 
 
全体的に、「SDGsないしは環境問題」「中国」の記事が目立つ。それだけ、2020年代の「大きな宿題」なのだろう。

ゼミ活動報告会

2月19日、綾部市あやべ・日東精工アリーナで開催された「令和元年度 むすびわざプロジェクトinあやべ 京都産業大学事業報告会」に参加した。今年度はうちのゼミのほか、経済学部のゼミも綾部に入り、ゼミ活動を行ってきた。

私たち教員のミニ講演とゼミの活動報告が主な内容。

 

私の講演テーマは「今、なぜ”あやべ”なのか?」。これまでゼミ生たちとともに地域に入り、地域の方々とともに取り組んだこと、議論したことから考察した内容。

主な内容は以下の通りである。

 

1.綾部の人の綾部知らず?!

9月にゼミ生たちと地元高校生とがワークショップを行った。そこでの対話から学生たちが考えたこととは?

・ 彼らが口々に言ったのは「綾部の子、綾部の人が綾部のことを知らないこと、そして伝えないこと」

・内にも、外にも「あやべ」は伝わっているか?

 

2.様々な「人々の取り組み」

・昨年度、そして今年度入らせていただいた水源の里集落で、地域の人たちが取り組んでいること

・毎年11月に上林小中学校で開催される「上林フェスティバル」。小学校の「学習発表会」が地域ぐるみのイベントになっていることの意義

・昨年11月に開催された「田舎を楽しむ学校(田楽学校)」について。地域で様々な取り組みをされている「人」がその知識や思いを来場者に「授業する」取り組みについて。

 

3.地域を「受け継いでいく」ということ

・今年度関わらせていただいた水源の里 古屋の「庚申さんご開帳」について。次の庚申年は2040年であるが、この頃、「団塊ジュニア」が高齢者の仲間入りをし、の日本の人口構成は今の綾部市と同じぐらいになっているという将来予測がある(日本の人口が1億1千万人、うち65歳以上が3800万人。高齢化率約35%)。次の「庚申さんご開帳」を行おうと思えば、その時まで集落が維持できていることが前提になる。

・「意地」が「維持」につながるのではないか。これまで2年間、地域の方にお話を伺ってきたが「私たちが現役でいる限り頑張る」ということを聞くことができた。支える仕組みは早急に整えなければならないが、まずは「意地」を持つこと。ひいてはそれが集落の「維持」につながるのではないかという思いを持ったこと。小田切徳美先生(2014)が言うところの「誇りの空洞化」に陥らないようにすることが肝要だ。

 

4.まとめ~今、なぜ“あやべ”なのか?

・地域の資源としての「人」の力。綾部の資源は「人」である。人々の知恵や技、行動、思想が綾部を魅力的にしている。この、現代の人々の取り組み、思い、願いをいかにして次世代につなげるか。

・縮小社会において求められるのは「持続可能性」。綾部はすでに進むべき未来に向けての道を歩いている。

・これから人口減少社会を迎えるであろう日本の各地域はもちろん、東アジアの国々に対しても綾部の経験は処方箋になりうるのではないか。

・だが、こうした「人の営み」を次世代に対して引き継いでいるだろうか?

 ・若い人が一旦外に出るのは構わない。だが、その後、「帰ってきたい」と思わせるような地域づくりはできているか。

 ・地の人も、移住者も、若者も、人生に疲れて逃れてきた人も、あらゆる出自を持つ人が「心配せずに暮らせる地域」、それが綾部であればいい。「人」たちがいきいきと幸せに生きられる。そんな綾部が良いのでは。

 

続いての、うちのゼミの報告テーマは「課題発見と解決へのアプローチ」。

9月に実施した、地元高校生とのワークショップで「地元高校生が地域のことを知らなかった」と言うことはかなり衝撃だったらしい。昨年の水源の里での取り組み、そして今年度の取り組みを踏まえて、3回生6人が、課題を解決するためのプロジェクトのアイデアを披露した。主な内容は以下の通り。

・地域の技や文化、人々の思いを伝えるための情報発信

・「生きづらさ」を抱えている若者が地域でいかに共生できる社会を作るか

・地域の人に知られていないが「実はすごい」産業や文化のことを地域の若者に知ってもらい、親しんでもらうためのアイデア

・地域住民の健康をいかにして維持していくか

Society5.0時代の行政改革

 

中には「ここまで言って大丈夫?」と言うような主張もあったが、決して表面的になぞっているのではなく、自分たちなりに現場に関わり、調べ、考察した、本気の提案であることは伝わったのではないだろうか。

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本当は明日(228日)に、2回生が取り組んできた集落紹介冊子『古屋AtoZ』の完成お披露目の機会を予定していたが、新型コロナウィルスの感染拡大を受けて、延期となった。

この19日と28日の報告会の内容をまとめてブログに書きたかったので、19日の内容だけで見ると、ずいぶん遅い記事となってしまった。

 

当日の様子は地元紙の『あやべ市民新聞』さんが記事として取り上げてくださっていた。感謝である。

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『あやべ市民新聞』の掲載紙面。

 

冊子(下写真)は、26日に市役所で会議があった際に、担当課に立ち寄り、いただいてきたので手元にあるが、早く学生たちに手渡すとともに、集落の方、地域の皆様方に対してのお披露目を早く行えたら、と思う。

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完成した水源の里集落紹介冊子『古屋AtoZ』

 参考文献

田切徳美(2014)『農山村は消滅しない』岩波新書

北陸で出会う、工芸の可能性

小松市こまつ芸術劇場うららで開催された標記のフォーラムに参加。

 

北陸3県の工芸産地(富山、高岡、金沢、能美、小松、鯖江、越前)の工芸関係者やプロデューサー、デザイナー、建築家等が集まり、意見交換を行った。

 

会場内では九谷焼色絵加飾、越前和紙墨流し、高岡漆器螺鈿のワークショップ(体験)が行われている。

また北陸各地の工芸祭の紹介と、2017年に実施された工芸ハッカソンから生まれた工芸作品の展示もあった。

 

メインのシンポジウムは、第1部の基調講演、第2部のトークセッション「北陸の工芸祭の多様性と展望」、そして第3部のトークセッション「北陸で出会う、工芸の可能性」の3部構成。

 

以下、各セッションから興味を持った発言や、そこから考えたことについて述べていく。

 

第1部 基調講演 原研哉

応仁の乱後、貴族文化の「豪華絢爛」から銀閣寺東求堂同仁斎や龍安寺石庭のようなミニマム「何もないのが美しい」に。

・日本はこれからどういう誇りを持って生きていくべきか。「イノベーションとオーセンティシティ」。イノベーションは米国や中国に比べ旗色が悪いが、日本はオーセンティシティの宝庫。工芸の力を発揮する舞台が必要。

 

第2部 トークセッション

第2部のトークセッションは3県7市の工芸祭に取り組んでいるメンバーたちのトークセッション。

共通する内容として、来場者に工芸を見せる、体験してもらうことで興味を持ってもらい、これが購買に繋がったり、作り手たちの誇りに繋げようとしていることがある。

工芸祭は古いもので10年程度、新しいものは23回目と比較的歴史は浅いが、それぞれ実績を上げてきつつあるし、産地の元気、職人たちの新たな気づき、そして担い手たちの獲得に繋がれば良いと考えた。

 

第3部 トークセッション

林口砂里氏

高岡市で実施し、プロデューサーとして関わった「工芸ハッカソン」について

・アート×伝統産業×先端技術

・工芸の可能性を探るために新たな手法の模索として実施。ハッカソンから予想を超える化学反応が生まれないかと期待。

・142名の応募者から選考し、37名が参加。その職種も多彩であった。

・実施にあたり地域や産地のことを知るツアー(工房見学、町歩き等)、チームビルディング、ハッカソン&プレゼン準備、プレゼンテーションという内容。その成果として工芸と情報技術の融合といったアイデアやプロダクツが完成。

・実施してみて。テクノロジーと工芸は敵対するものではなく、融合できる。いかにうまく使うかが重要。

・現在「ものづくり×旅」北陸の強みを生かしたツーリズムと価値発信を行う、「一般社団法人富山県西部観光社 水と匠」を設立した。

 

山下保博氏

「しま・ひと・たから」がテーマ。

・現在、東京、奄美大島、福岡に拠点がある。

・ふるさとである奄美大島では、自身の造語である「伝泊」を展開。伝泊とは、「伝統的・伝説的な建築と集落と文化」を次の時代に伝えるための宿泊施設であり、旅人と地域の人との出会いの場も提供する場である。

・「観光客に合わせる」のではなく、「日常こそ宝物」という認識のもと、日常に観光客が”参加”することで、のちにリピーターとなって戻ってくる。

・現在もスーパーの空きスペースを活用し「伝泊と広場」を融合した施設を作った。

・小松の過疎地域でも伝泊を開くべく準備中。「水と森と人のネットワーク」にポテンシャルを感じたから。

 

原研哉

・工芸は道具。道具が文脈の中でどう語られるか。「伝泊」のように、文脈を持っていないと成立しない。

 

林口氏

・工芸の価値とは美。心を動かされ、感動を起こさせるものが工芸。

・自然にかなう美しいものはないと思っていたが、工芸は美をモノに込めて表現されたもの。自然よりも美しいと言える。

 

山下氏

・日常ほど美しいものはない。人と出会うことが美しいこと。「美は特別ではない」ということを把握して進めること。

 

考えたこと

・現在フィールドで入っている綾部市北近畿エリアでも、「工芸の再興」や「伝泊等観光の展開」の可能性があるように思えた。確かに北陸3県ほどの知名度を持った伝統産業は多くないが、和紙、織物等、地域の風土や産物を活かした豊かな工芸が存在する。また、過疎地域、空き家が多い中、地域の自然や伝統・伝説、生活文化にフォーカスした「伝泊」のような観光形態とはきっと親和性があるはず。

・伝統工芸に関心を持ち、研究に足を突っ込むようになって20年余り。その間、研究から少し遠ざかることもあったが、忘れてはいない。とりわけ、担い手が高齢化し、その継承において危機的状況に置かれている工芸が増えている中、日本全国の工芸の実態を把握し、その価値を再定義し、次世代につなげるために残された時間は少ない。北陸でのこうした動きも念頭に置きつつ、研究実践活動を続けていかないと、と思いを新たにした。

 

そのほかのリンク

https://kanazawa.keizai.biz/photoflash/2616/

 

北陸で出会う、工芸の可能性(2020/02/24|石川) | まち座|今日の建築・都市・まちづくり

2020年新聞比べ読み

今年も元日の新聞(読売、産経、朝日、毎日、京都、日経)比べ読みをしました。

新聞はメディアとしては「衰退」「終わった」と見られがちですが、自分は新聞って好きなのです(その姿勢やビジネスモデルには問題ありですが)。

ということで202011日付の新聞比べ読み。

 

読売

毎年お馴染みの「大型社説」。概ね、政府の政策をなぞった内容で、新味なし。

2020年オリパラの先にある「2025万博」に夢を膨らませる特別面の記事も。

京都地方欄の教育に関する記事は面白い。立命館小学校の正頭英和先生と、京都精華大学学長のウスビ・サコ先生のインタビュー記事。本務校所属学部のゼミの取り組みも記事に。

 

産経

政府の機関紙か?と思わせるような紙面。「オリンピックで日本再生(ここにはパラリンピックへの眼差しがほとんど見られない)」「五輪後に景気は回復傾向」などなど、威勢がいい。お馴染みの「首相と語る」の見開き記事も毎年のこと。また1面の「年のはじめに」という論説委員長による記事は、現政権はよくやっているが、「岩盤支持層」が期待する憲法改正靖国参拝が進まないのは「”左派”と中国のいいなりのため」と舌鋒鋭い。

面白いのは「大阪都構想推し」の記事がやたら目立つこと。好き嫌いはあるかもしれないが、文芸評論家の神保祐司氏による「正論」は「ヴェートーヴェン誕生250年」に絡めた良記事。

 

朝日

昨年末に飛び出した「IR汚職」に関するすっぱ抜き記事をトップに。

社説は「2020年代の世界 『人類普遍』を手放さずに」と題して、人権、人間の尊厳、法の支配、民主主義といった、西洋近代が打ち立ててきた「普遍」が、今世界中で起こっているナショナリズムや排外主義、ポピュリズムといったことで揺らいでいると見る。返す刀で日本の現政権も「普遍離れ」という意味では、世界の憂うべき潮流と軌を一にしているとのべる(この辺に「朝日嫌い」の人たちが反応するんだろうなあ)。

面白かったのは社会面の小沢健二きゃりーぱみゅぱみゅのインタビュー記事「なまえのはなし」。

 

毎日

社説は朝日同様、「民主主義の揺らぎ」を問う内容。ポピュリズムの台頭で、これまで市場経済の発展と民主主義は「セット」と思われていたものが揺らぎ出した。それは2008年のリーマンショックに端を発し、国際的に低成長になるなか、グローバル化の進展で先進諸国の中産階級が没落し、民主主義が脅かされる状況が現れた。そんな中で中産階級の不満を煽ることでポピュリズムが台頭したのだという。だがそんな中で日本が果たすべき役割は大きく、「(民主主義を)あきらめる心にあらがいたい」と締めている。

興味深いのは京都地方欄。「今よみがえる黎明の平安京」という見開き全て使っての特集。平安時代のまちの形、暮らしぶりの紙面が圧巻。

 

京都

今年は京都市長選、大津市長選が年明け早々にある。その分析と、やはり昨年の皇位継承に絡め皇室関連の記事は目を引く。

東京五輪」関連の記事も多いが、東京から「ちょっと離れた」地方紙、しかも京都ならではの視点が面白い。社説では「『縮小社会』生き抜く知恵を」と題し、人口減少の後やってくるであろう「定常社会」では、新たな精神的・文化的価値への創造が見られるのだという。若者の「ローカル志向」の高まりも、それを直感的に感じ取っているからなのではないかと述べている。

市民版の「京都を拠点に無二の活動(とんがった、あるいは”変な”人たちや活動)に取り組み、輝きを放つ人たちに心のメダルを贈る」「京都オリンピック」の特集記事はユニーク。

 

日経

今年の新年連載特集は「逆境の資本主義」。ポピュリズム保護主義が渦巻く世界で、朝日・毎日が「民主主義」に軸足を置いたのに対し、日経は「資本主義」に軸足を置いているが経済紙らしいところ。

景気については、産経が「五輪後景気回復?」としているのに対し、日経は「五輪後消費息切れ?」とやや悲観的。

面白いのは昨年末からの連載「1964→2020」。『日本標準職業分類』上で1960年代にあったが、その後消えた職業(タイピストなど)と、その後リスト化された職業(サーバー管理者など)を挙げ、さらにAIの出現や働き方の多様化で「職業」という枠が薄れていくと予測している。

 

でも全体的に大晦日に飛び込んできた「ゴーン被告海外逃亡」に紙面を割かれているので、各新聞ごとの個性は薄め。

北近畿を熱く語るシンポジウム

2020年1月12日(日)に「北近畿を熱く語るシンポジウム」を開催いたします。
本シンポジウムでは、これまでに本学が取り組んできた総務省の「関係人口創出・拡大事業」モデル事業における各事業の成果報告や北近畿をいじる!アイデアコンテスト」の最終プレゼン、表彰等を行います。
当日はスペシャルゲストとして漫才コンビのロザン(吉本興業)も出演します。
ファイナリストに選ばれたアイデアこちら
 
参加無料、事前申し込みが必要となりますので、参加をご希望の方は下記のお問い合わせ先までご連絡ください。
■日時:2020年1月12日(日)14時30分~17時00分(14時00分開場)
■場所:京都大学百周年時計台記念館2F国際交流ホール
■名称:北近畿を熱く語るシンポジウム
■参加:無料
■事前申込:要(申込期限:2020年1月10日(金))
■申込、問い合わせ先
福知山公立大学 北近畿地域連携センター
TEL:0773-24-7151
FAX:0773-24-7152
MAIL:kita-re@fukuchiyama.ac.jp
Googleフォーム:

docs.google.com

ふるさと再発見ツアー(丹波市編)へのお誘い

来る12月7日(土)・8日(日)の1泊2日の行程で、丹波市において「ふるさと再発見ツアー」を実施することとなりました。
このツアーは、都市部の大学に進学した大学生や社会人に向けての丹波市地域資源の再発見を促すこと、丹波市に立地する「知られざる優良企業」や同地域における「優れた取り組み」等を知ってもらうこと、そして、ツアーを通じて、卒業の進路選択における選択肢として丹波市の情報を提供する。あるいは進路を考えるにあたっての判断材料を提供することを目的としております。
Uターン、Iターン、あるいは地域での暮らしや仕事等に興味のある方、ぜひご参加ください。
そして都市部にご子息を送り出されている親御様、お子様にお伝えいただければ幸いです。

             記
1.参加総数  
北近畿地域出身の大学生や社会人等 計10~20名程度
北近畿地域出身者でなくても歓迎)

2.スケジュール
(1)日程
12月7日(土)・8日(日)の1泊2日

(2)行程
12月7日(土)
13:00 福知山駅集合
チャーターバスで大地農園様へ

www.ohchi-n.co.jp


14:00頃 大地農園様着
大地社長様からのお話、工場見学、プリザーブドフラワー体験(1時間15分程度。体験代1500円)
16:30頃 大地農園様発
17:30頃 宿泊場所(キャンプリゾート森のひととき)着
丹波市市島町与戸 長尾52-1 https://mori-hitotoki.com/

mori-hitotoki.com


12月8日(日)
7:30 朝食
8:30 出発
9:00~10:30頃 谷上公民館へ。市島町鴨阪における水害復興とアジサイ栽培、村づくりに関する見学とお話
11:00~12:30頃 道の駅丹波おばあちゃんの里で施設見学、お話、および土産物購入等
13:00〜15:30頃  無鹿リゾート様(食事とオーナーシェフ鴻谷佳彦様お話、見学)
16:00頃 福知山駅到着、解散

michi-kasuga.jp

hayama.main.jp


参加費:出発地から福知山駅までの往復交通費(上限2500円程度)および宿泊費半額相当補助。

申込締切 2019年11月29日
申込・問合せ先 福知山公立大学 北近畿地域連携センター
tel:0773-24-7151
e-mail: kita-re@fukuchiyama.ac.jp
申込時に、参加者氏名、性別、年齢(⚪︎歳代)、連絡先、所属、住所等をお伝えください。

主催:ふるさともう一度会議(福知山市朝来市丹波市福知山公立大学
この事業は総務省「関係人口創出・拡大モデル事業」の一環として実施します。
https://www.fukuchiyama.ac.jp/kitare/report/category/関係人口創出・拡大事業/

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チラシ表面

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チラシ裏面