誠信堂徒然日記

まちづくり、地域のこと、旅行記、教育や社会問題等徒然と。

ふるさとを生きるワークショップ in 朝来市

5年後、10年後、自分はどこで暮らしているか想像できますか?

 

「自分が生まれたふるさとで暮らしたい!」

「都市部でなく地方で暮らしたい」だけど不安はありませんか?

「仕事はあるの?」

「周りの友達は都会に出て行って、寂しくなるのでは?」

「ふるさとに戻るタイミングっていつ?」

「同じ年代の活躍中の人はいるの?」

 

 不安を解消するための第一歩は、自分の思いを口にすることから始まると思います。このワークショップでは、都市部の若者も参加し、ふるさとで暮らす先輩方のお話を聞き、参加者同士の交流をはかりながら、自分の将来を具体的に思い描きます。

 

こんな方におすすめ:

・「これからの将来、どうしよう」と考えている中高生

・「卒業したらどこで働こう」と考えている大学生

・「今までとは違う地域で働いてみたい」と考えている都市部在住の大学生や社会人

・これから進路を決めるお子さんをお持ちの保護者のみなさん

・地域で若者たちと何か面白いことを始めたいとお考えの北近畿地域等在住のみなさん

地域活性化の活動を実践中のみなさん、興味のあるみなさん

 

【朝来編】

日 時:20191116日(土)133016301300受付開始)

 

場 所:あさご・ささゆりホール(〒679-3431 兵庫県朝来市新井73-1

 

主 催:ふるさともう一度会議(福知山市朝来市丹波市福知山公立大学

 

定 員:50人(定員に達し次第、締め切ります)※お子様とご一緒の参加も歓迎します。

ゲスト:中島英樹さん(一般社団法人朝来まちづくり機構理事、地域おこし協力隊OB)、松本智翔さん(竹田劇場代表、TRUSS代表)、津 志歩さん(株式会社NOUEN ※新規就農者)

 

申込み:必要事項(氏名(ふりがな)、メールアドレス、電話番号、所属(大学・勤務先など)、年代、住所(市町村))を

    FAXまたはメールでお知らせください

 

送付先:FAX 0773-24-7152 メール kita-re@fukuchiyama.ac.jp

 

締切り:118日(金)

総務省「関係人口創出・拡大モデル事業」の事業についてはこちらをご覧ください。

www.fukuchiyama.ac.jp

 

 

 

ふるさとを生きるワークショップ in 福知山

5年後、10年後、自分はどこで暮らしているか想像できますか?

 

「自分が生まれたふるさとで暮らしたい!」

「都市部でなく地方で暮らしたい」だけど不安はありませんか?

「仕事はあるの?」

「周りの友達は都会に出て行って、寂しくなるのでは?」

「ふるさとに戻るタイミングっていつ?」

「同じ年代の活躍中の人はいるの?」

 

 不安を解消するための第一歩は、自分の思いを口にすることから始まると思います。このワークショップでは、都市部の若者も参加し、ふるさとで暮らす先輩方のお話を聞き、参加者同士の交流をはかりながら、自分の将来を具体的に思い描きます。

 

こんな方におすすめ:

・「これからの将来、どうしよう」と考えている中高生

・「卒業したらどこで働こう」と考えている大学生

・「今までとは違う地域で働いてみたい」と考えている都市部在住の大学生や社会人

・これから進路を決めるお子さんをお持ちの保護者のみなさん

・地域で若者たちと何か面白いことを始めたいとお考えの北近畿地域等在住のみなさん

地域活性化の活動を実践中のみなさん、興味のあるみなさん

 

【福知山編】

日 時:20191027日(日)150018001430受付開始)

 

場 所:市民交流プラザふくちやま3階市民交流スペース(福知山駅北口すぐ、京都府福知山市駅前町400

 

主 催:ふるさともう一度会議(福知山市朝来市丹波市福知山公立大学

 

定 員:50人(定員に達し次第、締め切ります)※お子様とご一緒の参加も歓迎します。

 

ゲスト:小林加奈子さん(農業者:株式会社小林ふぁーむ)、イシワタマリさん(美術家:山山アートセンター)、片山隆永さん(経営者:株式会社トラスト)

 

申込み:必要事項(氏名(ふりがな)、メールアドレス、電話番号、所属(大学・勤務先など)、年代、住所(市町村))を

    FAXまたはメールでお知らせください

 

送付先:FAX 0773-24-7152 メール kita-re@fukuchiyama.ac.jp

 

締切り:1018日(金)

 

総務省「関係人口創出・拡大モデル事業」採択内容についてはこちらをご覧ください。

www.fukuchiyama.ac.jp

「出張月間」が終わって(後編)

後半では、917日から23日で実施したゼミ合宿について振り返ってみたい。

 

17

前日まで知人の結婚式に呼ばれ、日光まで行っていたこともあり、帰宅が深夜になった。

そんなこともあり、出発は午後とし、夕方に現地入りすることとなった。

16時半ごろ、今回の合宿のベースとなる宿舎「あやべ山の家」に到着。玄関を入ると真ん中に廊下があり左手に談話室、右手に食堂、その奥が客間になっている。

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あやべ山の家

ここで、前日の古屋の「栃の実拾いボランティア」に参加し、前泊していた学生と合流。

初日は夕方着になったので、合宿の予定を説明した後、近くにある「あやべ温泉」で入浴と食事。あやべ温泉の売店で翌朝の朝食用の食材(お米、梅干し、佃煮類。全て綾部産)を購入し、宿舎に戻る。

宿舎に戻った後、自由時間が始まるのかと思いきや、学生から「こないだの高校生とのワークショップの振り返りをしたい」という申し出があり、その場を設定。

 

主な意見としては次の通り。

・目新しい意見はなかった。予測できる答えだけ。

・高校生たちは地元のことをよく知らないことがわかった。

・自分たちの学びとしては多くなかった。

・高校生たちに対して「将来住みたいか」という問いを発したところ「NO」が多かった。それに対して、職員の人は「仕方ない」という感じだった。

・「進学し、卒業後戻りたいか」という問いに対しても「戻りたい」という意見は少なかった。人口減少、高齢化が進む地域で「地域が変わった」ということが見えない絶望感があるのかも。

・「住んでよかった」と思える強みがない。

・隣の市と比べて「××がない」という意見が多く、高校生たちにとっては隣の市の後塵を拝している、と見えるのだろう。

・外との交流があまりない。

・「進学してもらいたくない」と思っているような。

 

かなり厳しい意見である。

このことについて学生と、それから同行してくださっている研究者の方々とも共有しながら、その意味や背景を探った。

 

次のテーマは「では、(元々の目的であった)次期計画にどう活かすか?」。

(1)行政組織の意識変革

ボトムアップで職員のアイデアが活かせる組織に変革する。

SNSへの抵抗感。もっとポジティブに活用できるようにすれば。

(2)「挑戦できない空気感」の打破

・移住者は全国からこの場所の魅力に惹きつけられてやってくる。

・高齢化の進む農山村部の高齢者たちは、移住者を呼び込むための工夫をしたり、特産品づくりに精を出したりとチャレンジしている。

・地元企業もユニークで挑戦している。

・こうした動きを市内の人は気づかない。

・他者の目から見られることや、アクションを起こす人が必要。

・でも行政組織が後ろ向きだと地域の人たちも後ろ向きになってしまうのではないか。

・若者の目線、農山村部の人の目線、職員の目線それぞれが同じ夢を見ることができるように。

 

といった意見が出た。

 

夜遅くまで話し合ったが、なかなか突っ込んだ議論ができ、頭が活性化した。

翌日からのフィールドワークが楽しみである。

 

18

昨日買ったお米(綾部産新米!)を一升半(!)炊き、朝からおにぎりづくり。朝食とフィールドワークで山に行く人たちのための昼食用である。

2回生は、ミッションである集落紹介冊子の情報収拾のため水源の里・古屋へ。3回生は自らのプロジェクトの情報収拾のためそれぞれのテーマに合った場所へ出かけていく。

問題は宿舎からのアクセス。古屋へは同行している研究者の方に車で送っていただくことができた。またバスが出ているところへはバスに乗ってもらい、それもないところへはレンタカーを昨日借りていたので、それで送り届ける。

1名の学生を送り届けた後、古屋のグループへ合流する。ちょうど2回生が滝から集落まであるいいていたところだった。疲れているかと思いきや、案外楽しそうでホッとする。

古屋公民館に到着。おばあちゃんたちが待ってくれていたので挨拶。これから山に行ってくることを伝える。おりた後にはお話を伺う予定だ。

ここから古屋の最大の魅力といっても良い山へ入る。スズメバチマムシが出ている、という情報を聞いていたので、山行には細心の注意を払う。

集落から林道を歩く。途中、ヘビが道を這っていたり、スズメバチが飛んでいるところを注意深くぬけながら奥へと入っていく。地上に置かず、祠の上に掲げるという珍しい石仏やかつてここが田畑だった場所であることがわかる石垣、養蜂のためのミツバチの巣箱などを見ながら通り過ぎると、山道だ。ここからは道が狭く、滑りやすいところも多い。学生は運動靴を履いているだけに余計に気を配る。登るのは「白石原」と呼ばれる場所。樹齢1000年と言われる大栃の木がある。栃の木は水や養分の多いところに育つというが、古屋の森そのものが水をいっぱい含んでいるようだ。学生たちは「マイナスイオン」といっているが、川に、そして山の地中に、たっぷりの水を含んでいることがわかる。

白石原の斜面を登り、鹿よけネットで囲われた一番上に位置するのが「モーモー水」である。山の伏流水がここで湧き出しており、川の源流をなしている。ここの水は飲めるらしく、「モーモーさん、お水をいただきます」といって飲まないとお腹を壊す、という言い伝えがあるので、みんなそれをいってから水を飲んでいた。冷たくて清らかな水だ。

ここで休憩。朝作ったおにぎりを食べたり、写真を撮ったり、タバコを吸う人はタバコをふかしたり・・・それにしても山でタバコを吸う人はなぜこんなに美味しそうな表情をするのだろうといつも思う。

13時半を回ったので山を降りる。下りでは学生たちが斜面で滑らないように注意を払いながら歩く。およそ40分ほどかけて公民館にたどり着いた。途中、何個か栃の実を拾うことができた。

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水源の里・古屋の森

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「モーモー水」をいただく学生

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山を降り、集落にたどり着く

 

公民館で栃餅ぜんざいをいただきながら、おばあちゃんたちからお話を伺う。

ただ、他の場所に調査に出ている3回生の動向が気になる。携帯の電波が圏外なので状況がわからないし、連絡が来ているかもしれない。そこで、山を降り、府道のあたりまで出てくると、着信やメッセージの受信がいっぱい。早速連絡を取ると、宿舎にいるという。うち一人は連絡がつかずに再び市街地に行ったらしい。

そこで、宿舎にいるメンバーを車に乗せ古屋へ向かい、2回生、3回生交えてお話を伺うことにした。

研究者の方から栃の実の皮むきに使う道具についてや、昔の生活についての質問などをしていく。子供の頃の生活に質問が及ぶと、おばあちゃんたちの表情が生き生きとしてきた。

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栃の実の皮むきを教わる

話が弾んできて、学生たちからの質問を促すと、手を挙げる学生が出てきた。学生たちは家の妻にある家紋が、着物はもちろん、ふとんにも紋が染め抜かれていたことに興味を持ったらしい。どんなことであれ、こうした反応は嬉しいものである。

気がつけば16時を回っていたので、そろそろ失礼することとする。

とはいうものの、ドライバーを除く9名を2台の車で一度には運べない。そこで、ピストン輸送にし、私は宿舎に学生を送り届けた後、学生を乗せるためもう一度古屋公民館に戻ったのだが、部屋では学生がビールとおつまみをいただき、おばあちゃんたちと話に興じていた。

 

全員が宿舎に戻るともう18時。当初予定していた自炊は諦め、外で食事にすることとする。前日から入っていた学生が、その時訪れたかしわ(鶏肉)料理のお店を勧めてくれたので行ってみることにする。二王公園の中にある建物の中でそのお店は営業していた。事前にチラシを見せてもらっていて、鶏肉を販売していることは把握していたのだが、料理は鶏肉を使ったおばんざいと鶏肉BBQがメイン。側溝に使うコンクリートにコンロを置き、側溝の上に網や鉄板を置いてBBQを食べさせるというしつらえ。床はコンクリ打ちっ放しで殺風景な内装だが、中は地元の常連客と思しき人たちで賑やかだ。店に入ると、前日に訪れた学生はすでに顔なじみになっており、初めての、しかも地元の常連客だけの店なのにも関わらずすっかり打ち解ける。

大人数になったのでBBQにしてほしいとお店の人から頼まれたのでそうすることにする。前日来た学生はおばんざいの定食(500円!)を勧めてくれたので、それも試したみたいが致し方あるまい。

ほどなく、鶏肉が運ばれてくる。正肉ばかりでなく内臓も全て混ざったものがバットに入っている。ここは「上林地鶏」の産地。鶏肉屋が出す店ということもあり、新鮮さに自信のある証左だろう。これに野菜とご飯(おかわり自由、瓶や小皿に入って置かれている漬物類は食べ放題)がついて1000円はお値打ち。

 

いただいているうちに、お店のお客さんであるおっちゃんたちと馴染んでくる。中にはそのテーブルに入り、話し込んでいる学生もいる。前日に行った学生が「ここのお店よかった!」と勧めてくれたことがご縁で、地域の人たちとすっかり打ち解けることができたし、この地域の人たちの生活の一部でも垣間見ることができたであろう。

だが、気がつくと21時を回っている。入浴の時間がなくなってしまうということで、名残惜しみながら店を後にした。

入浴後、宿舎に戻ると23時近くになっていた。さすがに今日は疲れたと思うので、1日のフィードバックを行い、自由時間とした。

 

19

レンタカーを一旦返却しなければならないので、朝食のおにぎりだけ(この日は一升)作って、駅前まで車を返しに出かける。

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朝食のおにぎり。綾部米の新米に、梅干し、ふきの佃煮、万願寺とうがらし味噌、瀬尾谷漬と綾部(とりわけ上林のもの)にこだわる

あやバスで戻ると、大町バスターミナルに3回生の3人がバスを待っていた。聞くと、前日の調査で聴けなかったことを今日聴くという約束をしたいるのだという。

学生たちと別れ、宿舎に戻ろうとしたのだが、あいにくバスターミナルから先のバスがない。ちょうど、市の集落支援員の方が、小屋に行くところであったので、道すがらにある山の家まで乗せてもらう。田舎では厚意に甘えることが大切だ。

宿舎に戻り、荷物をまとめ、チェックアウトの準備。それまでに、2回生には前日の調査を踏まえ、その内容を検討してもらう。

時間が来たのでバス停へ。

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バス停でバスを待つ

あやバス40分程度揺られ、駅前へ。このあと1時間ほど昼食のため、自由時間とし、学生たちを「放牧」した。

駅で今後の予定等を整理していると、府の大学政策を担当している課の前の担当者の方とばったり。現在の取り組みや以前のこと、今後のことなどについてついつい30分以上話し込んでしまった。

13時過ぎ、駅からタクシーに分乗して綾部市里山交流・研修センター(綾むすび館)に出かける。こちらでは、今年度この施設でうちのゼミと、府立農業大学校、そしてこの施設の指定管理者である里山ねっと・あやべの三者の協働で進めている「0農」の会議。「0農」とは、この施設にある、かつての土砂崩れで荒地になってしまった土地を「土作り」から始め、農地にし、そこで農を通じたコミュニケーションや学び合いの場、収穫した作物の活用などを進めていこうというプロジェクトである。

1時半頃到着。農業大学校の先生と学生さん4人、そしてうちが教員と学生10人、そして里山ねっと・あやべの担当のスタッフ1名が参加して、現在の進捗や看板づくり等今後進めていくことについて話し合った。

その後、畑に出て、作物の剪定や、秋収穫の作物(サツマイモ)の具合の確認等を行い、合宿の全行程を終了した。

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「0農」の会議。府立農業大学校の学生さんと

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畑での作業の様子

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畑での作業の様子

 

ここで3日間の合宿について振り返っておこう。

まずは、先月の5大学のインターゼミ、11日の高校生との意見交換会、そして今回という大変ハードな合宿、フィールドワークを通して、確実に成長した。そしてゼミ間の結束も強まった。

次に、教員がいちいち指示をしなくても、自らの判断で現地で話を聞いたり、行動したりする中で、地域の人たちと仲良くなったり、思わぬ資料をいただけたり、またフィールドで得られた成果をもとに考察ができるようになったことがある。

そして現場では、以前、「フィールドワーク教育」について聞いたシンポジウムの内容と感想について記事を書いたことがあるが、あらかじめ予定されていた「シナリオ通り」にはいかない、「アドリブ力」、すなわち「フィールドワーク力」がついたことを実感できた。例えば、合宿に先行して地域に入っていた学生は、バス停から現地、現地から宿舎までの自動車での送り迎えを知人にお願いしただけで、あとは(私が当日まで時間が取れなかったこともあるが)全て学生の自主性に委ねた。結果、自分で夕食をとる店を見つけ、自ら飛び込み、そこでお客さんとしてきていた地域住民の方々と親しくなったり、自分でバスに乗って調査に出かけたりといった行動ができた。また別の学生は、前回の高校生との意見交換会で考えたことと訪問先で聞いた話とを踏まえ、組織の構造と意思決定の関係にまで考察を深めることができたことなどがある。

今回の合宿では、まさにフィールドワークの醍醐味を味わってもらえたことが最大の成果だと思う。

ただ、「自ら動ける」学生は良いが、方向性について迷っている学生にとっては若干得るものは少なかったかもしれない。こうした学生に対して、いかに的確なアドバイスやケアができるかが今後の課題である。

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学生が歩いてまとめた市街地の特徴マップ

 

今後、2回生は集落紹介冊子の内容の検討、3回生は各々のプロジェクトのテーマを掘り下げ、活動に移していくことになる。また12月には「京都から発信する政策研究交流大会」での発表も検討している。

これから忙しくなることだろうが、この夏の成長を見る限り、大いに期待できそうだ。

「出張月間」が終わって(前編)

8月の盆明けから、秋学期の授業が始まるまで、出張や遠出が続いた。

ざっとこんな感じである。

 

8/19-20 福知山、朝来

8/27 綾部

8/28-30 綾部

9/2 南山城

9/4 綾部

9/5 朝来

9/7-8 福知山、朝来

9/11 綾部

9/11-12 相模原、八王子

9/14-16 東京、日光

9/17-19 綾部

9/21 富山

 

全てを書くには記述量が膨大になりすぎるので、前編は911日の高校生とゼミ生との意見交換会雑感。

 

本務校と協定を結んでいる自治体が、「2020年度から10年度間の次期総合計画を予定があるので、学生さんにも協力してもらい、地元高校生の意見を集約したい」というオーダーがあったのが今年の初め。それ以降、担当職員の方にゼミに説明に来ていただいたり、何度も話し合いをしたりして、ついに本番となった。

私は、「学生のファシリテーションでワークショップを行い、対話を通して意見を引き出すこと」「総合計画策定の中で、”若者の意見を集約した”ということをアリバイ的に使わないこと」という要望を出していた。

結果、70名余の高校生を5人程度のグループに分け、それぞれのテーブルにファシリテーターとして学生、足りないところは行政職員の方に入っていただき、ワークショップの手法の一つである「ワールドカフェ」で行うこととした。

なお、話し合いの内容については、参加者が共有しやすいようグラフィックレコーディングを導入した。

 

当日。視聴覚教室に高校生、大学生、高校の先生が集まり、意見交換会が始まる。

まず、行政の担当職員から地域の概要について紹介、続いてゼミ生が、これまで1年余、フィールドとしてこの地域に入ってみてわかったことや課題等についてプレゼンテーションした。

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まずはまちの概要についての説明

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学生たちがこの地域に関わってみて気づいたことなどをグラフィックレコーディングでまとめていただきました(一部トリミングしています)

その後、ワールドカフェの開始。思いの外、最初から打ち解けた雰囲気になっている。一方私は二つの部屋に分かれて行うことになった各テーブルを回ったり、タイムキープを行ったりするのに行ったり来たりと忙しい。グラフィッカーもテーブルの参加者に話を聞いて回るなど、工夫をしている。

最初のテーブルでアイスブレークと1ラウンド「このまちの良いところ、気になるところ」、席替えをして2ラウンド「良いところを受け継いでいくために、気になるところを改善していくために自分たちができること」について話し合ってもらった。

テーブルごとのワークショップ後、を終えた後、再び視聴覚教室に戻り、話し合いの内容をお互いに共有。隣に座った人同士で話し合いの内容を振り返り、それを付箋に書き出し、前の模造紙に張り出したものを、参加者全員で見て回るというもの。

とりわけ、話の内容をイラスト等を使ってわかりやすく説明するグラフィックレコーディングに一部の生徒や先生方は興味津々。導入は成功だった!

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ワールドカフェの様子

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振り返りの内容をもとにグラレコ

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話し合いの内容がまとまりました



ワークショップ終了後、行政職員とゼミ生とで振り返りを兼ねた意見交換会を高校の教室をお借りして行う。

まずは、各テーブルででた内容を共有。主な内容として、地域の良いところとして「自然が豊か」「安全で犯罪が少ない」といったことが挙がった。一方、課題として「公共交通が不便」「買い物、遊び、勉強等をする場所が少ない」といったことが挙がった。

一方で、それがどのような文脈で出てきたのかとか、この地域の高校生たちの背景の引き出しは十分でなかった模様。例えば「まちにカフェが欲しい」という高校生の意見をどう考えるか?高校生が「カフェ」を使う目的としては、友達と話したり、勉強をしたりすることが多いはず。そう考えると「カフェを誘致しよう」というのは現実的ではないことがわかる。何故ならば、企業は利用者数や売上の予測をして出店計画を立てるからだ。ならば、生徒たちが求めているのは家でもない、学校でもない場所「サードプレース」であることがわかるだろう。だが、それは決して行政が全てお膳立てをしなければならないものでもない。民間企業やNPOが担うことだって可能だ。その場所を斡旋したり、家主に掛け合って調整したりするのが行政の役割だと言えるだろう。

 

今回の成果としては、高校を卒業すると進学や就職のために地元を離れなればならない高校生たちにとって「ちょっと上の先輩」である大学生との交流や対話の機会は必要であることがわかったことである。高校生にとっては大学生がロールモデルになるかもしれないこと、そして大学生にとっては後輩に自分たちの取り組みや考えていることを自分たちの言葉で伝えるということは自らを省察し、相対化するのに絶好の機会だと考えた。

一方課題としては、高校生の言葉の意味まで十分に汲み取り、それを踏まえた対話を行うのはやや経験が足りなかったかということである。

 

総合計画云々は関係なく、定期的にやりたい企画である。

ふるさと再発見ツアー(丹波編)

「ふるさと再発見ツアー」の第2弾丹波編が9月20日、21日に催行されます。

兵庫県丹波市の魅力的な人、仕事、地域の取り組みを「再発見」し、地域を再び見つめなおしたり、愛着や関わりを持つきっかけになるツアーにしたいと思います。

締め切りは9月10日(火)。ご検討中の方、お早めにお申し込み願います。

 

京都府兵庫県北部の「北近畿」は、豊かな自然、歴史や文化的資源、食材の宝庫。でも、「働く場所」や「自分の可能性を試す機会」は限られているのでは…?
そんな不安を吹き飛ばす、北近畿のよそにはない魅力的な人や仕事、取組を再発見する1泊2日のツアーをご用意しました。
「地元を知らないまま都会へ出た人」「地元に帰りたいけどちょっと不安な人」、そして「関心がある、応援したい地域ともっと関わりたい人」にオススメです。

ふるさと再発見ツアー(丹波編)
〇日程 2019年9月20日(金)・21日(土)
〇集合 9月20日(金)12:00 JR福知山駅改札
〇行程(予定)
・マイクロバスで丹波市に移動
20日・21日 マイクロバスでプリザーブドフラワーの製造で世界を市場にする企業の訪問と体験、里山の再生、水害復興×ビジネスの取組見学、意見交換(2グループがローテーションで訪問)
訪問先の大地農園

www.ohchi-n.co.jp


訪問先の平松区における取組の記事(丹波新聞)

tanba.jp


・宿泊は、キャンプリゾート森のひととき

mori-hitotoki.com


・宿泊地では丹波復興女性プロジェクト会「ぽんぽ好」さんによる手作り料理。

www.findglocal.com


・21日夕方、福知山駅で解散

〇募集定員 40名
〇参加費
 宿泊費、交通費の半額を補助します(当日精算)。詳細は申込時にお知らせいたします。
※ツアー中の飲食代は実費必要です。

 〇申込・問合先
 福知山公立大学 北近畿地域連携センター
TEL:0773-24-7151
https://www.fukuchiyama.ac.jp/kitare/form/contact/

 

<引き続き募集中!>ふるさと再発見ツアー、移住体験ツアー

学生の皆さん、社会人の皆さん、学生さんをお子様にもつ親御さんへ

北近畿地域の「ふるさと再発見ツアー」「移住体験ツアー」のご案内です。

地域の企業経営者、新しい農業に取り組む先駆者、地域づくりの仕掛け人に出会えます。じっくりとお話しできます!

9月7日はその第1弾「福知山・朝来編」がスタート。まだ間に合います!

奮ってご応募ください。

「ふるさと再発見ツアー」のご案内

 京都府兵庫県北部の「北近畿」は、豊かな自然、歴史や文化的資源、食材の宝庫。でも、「働く場所」や「自分の可能性を試す機会」は限られているのでは

そんな不安を吹き飛ばす、北近畿のよそにはない魅力的な人や仕事、取組を再発見する1泊2日のツアーをご用意しました。

「地元を知らないまま都会へ出た人」「地元に帰りたいけどちょっと不安な人」、そして「関心がある、応援したい地域ともっと関わりたい人」にオススメです。

ふるさと再発見ツアー(福知山・朝来編)

〇日程 201997日(土)・8日(日)

〇集合 97日(土)13:00 JR福知山駅改札集合

〇ツアーの概要

97日(土)

中心市街地におけるリノベーションのまちづくりの取組紹介とまち歩き

福知山市内の若手企業人、まちづくりのキーパーソンたちとの交流会

福知山市内の公共施設等に分宿

9月8日(日)

朝、マイクロバスで朝来市

農業法人コワーキングスペースを訪問・体験。代表者、仕掛け人や地元の若手起業者の皆さんと意見交換。

1700頃、福知山駅で解散

〇募集定員 40

〇参加費

宿泊費、交通費の半額を補助します(当日精算)。

(福知山・朝来編は宿泊費負担は2000円程度)

 詳細は申込時にお知らせいたします。

交流会費用、ツアー中の飲食代は実費必要です。

〇申込・問合先

福知山公立大学 北近畿地域連携センター

TEL:0773-24-7151

https://www.fukuchiyama.ac.jp/kitare/form/contact/

以下のページもご参照ください。

いがいと!福知山

https://www.city.fukuchiyama.lg.jp/site/promotion/

あさご暮らしフェイスブック

https://www.facebook.com/asago.city.teijuu

あさご暮らし

http://www.city.asago.hyogo.jp/cp/

この事業は総務省関係人口創出・拡大事業 の一環で実施します。

https://www.fukuchiyama.ac.jp/kitare/report/2019-07-28-989/

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「関係人口」

この1週間の出来事

 

825

午前中から綾部市古屋へ。古屋は綾部の「水源の里」に指定されている集落の1つ。わずか人口4名の集落だが、この集落を応援する「古屋でがんばろう会」のメンバーが頻繁に訪れ、集落支援に一役買っている。

今回は、いよいよ実りだした栃の実を受けるネット張りの作業。

川から破れて落ちているネットを引き上げ、それを繕う。山奥でさながら浜辺で漁網を編むかのような光景が広がる。

昼食をとり、「古屋でがんばろう会」の役員会。9月から始まる栃の実拾いボランティアのスタッフ側の体制決めと注意事項の確認。その後残りの作業をして、3時ごろ完了。

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古屋でがんばろう会」は、春は鹿よけネット張りや集落整備、秋は栃の実拾いや灰作り(栃の実を茹で、アクを抜くのに使う)のボランティア、また都市農村交流のイベントなども実施している。集落の人口は4人だが、そこに関わる「関係人口」は、その数倍になる。

 

終了後、ゼミ生が実行委員会のメンバーに名を連ねている京北の「さとまちフェスティバル」へ。「さとまちフェスティバル」は大学コンソーシアム京都の「学まちコラボ」採択団体であり、今年で4回目。地元出身の学生や社会人と地元高校生とで実行委員会を組織し、地域の人たちと交流する機会としての夏まつりを実施するというものである。

古屋を出るのが遅くなり、到着が5時ごろになってしまったが、地域の子どもたちが遊びに来ており、地元の鮎焼きや流しそうめんといった飲食の提供や絞り染めのワークショップなど夕涼み的な良い雰囲気。

場所は「恋咲楽」というかつて空き家であった建物を改修した地域の拠点。建物の中では子どもたちがゲームをするなど、思い思いの形で楽しんでいる。

恋咲楽の代表の方に話を聞く。聞くと、「さとまちフェスティバル」は、いたずらに規模や来場者数を追うことなく、「来る人も自分たちも楽しめ、持続できる」運営をしているという。確かに見ると、スタッフがあくせくすることなく、共に楽しんでいることがうかがえる。また、恋咲楽は「(京北の)青少年活動センター」のような位置付け。あくまでも若い子たちが自主的に運営することにしているという。都市部では若い人の「居場所」があるが、農山村部ではいわゆる「サードプレース」がない。農山村こそこうした場所がいるのかもしれない。

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この日から30日まで、5大学の合同ゼミ合宿(インターゼミ)。毎年地域は大学所在地のある場所持ち回りで実施しており、第3回目となる今年は綾部・福知山が舞台。福知山公立大学京都産業大学が幹事校である。

5月ごろから準備を進めてきていよいよ本番である。だが、あいにくの天気。

私は、合宿の前に「あやべ水源の里連絡協議会」の総会があり、そこでの講演を依頼されていたので、まずそちらに伺う。講演のテーマは「水源の里AtoZの取り組みから」。昨年度から実施している綾部市、本学、龍谷大学による3年度間プロジェクトである「水源の里16集落のAtoZを作る」の昨年度の取り組みから見えたことについて講演した。

学生たちが世間一般には「過疎地」と括られてしまう「水源の里」の集落に入り、そこでインタビューをしたり、地域を観察したり、はたまた地域の様々なイベントやボランティアに参加する中で見えたことや学生の学びについて紹介した。また彼ら学生はここでの学びから地域への関心が高まり、「関係人口」として地域を応援する存在になることも付け加えた。

 

講演が終わり合宿会場である綾部市里山交流研修センターへ。ここは、昨年10月からは京都産業大学の交流拠点「綾・むすび館」にも位置付けられており、本学の学生にとっても馴染みの施設。

すでに、5大学の学生の顔合わせが始まっており、続いて懇親会のBBQ、そして学生たちによる各大学紹介によって、早くも打ち解けた。

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29日からはいよいよ調査。午前中は綾部市福知山市それぞれについてゲストからのお話、そして昼からは、綾部調査組、福知山調査組それぞれ3グループを作り、フィールドワークに出かける。私は綾部調査組を担当。学生グループが考えたテーマに沿って、市役所や水源の里の集落で、あらかじめ市役所の方からご紹介をいただいていた方々へのインタビューのアテンドを行なった。

インタビューは、Iターン者、Uターン者、地元の方にインタビュー。移住の動機、Uターンの動機、地域の事情、そして女性の移住者の方からは子育て、女性の視点からの地域の課題など幅広いお話を伺うことができた。

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調査結果を持ち帰り、各グループでプレゼンに向けた準備を、「ほぼ徹夜で」行う。

最終日の30日には綾部、福知山それぞれを調査した6つのグループから調査結果と政策提案のプレゼンテーション。担当教員で協議し、最優秀賞、優秀賞、特別賞を決め、表彰した。

終了後、学生たちはすっかり打ち解け、早くも友人、同志の関係に。別れを惜しみながら、合宿は終了した。

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こうした1週間であったが、キーワードはタイトルにも書いた「関係人口」である。

2016年ごろから様々な著書で知られるようになった「関係人口」であるが、今では政府もこの言葉を用いるようになっている。学生たちも今後、その地域の「関係人口」になることが多いに期待できる。

 

だが、この言葉、ちょっと使い方に注意が必要である。

総務省のウェブサイトを見るとその地域に居住地を移す「定住人口」と観光等でその地域を訪れる「関係人口」の間に位置するもの、と定義されているが、その概念は広い。例えば「頻繁に行き来する人」「その土地にルーツがある人」「仕事やかつての居住等で何らかの関係がある人」とされているが、他にも「ふるさと納税で応援する人」や「二地域居住者」も含めることが多い。それゆえ捉え方は様々になってしまう。

合宿でも「関係人口」という言葉の使い方には注意が必要だね、ということが教員同士でも話題になった。

定住はハードルが高いが、頻繁に、かつ愛着を持ち、そして「当事者的に」地域に関わってくれる存在、として何となく「現在の地方の問題を解決する美しい言葉」のように捉えられてしまいがちである。

だが、「美しい」ゆえに、この言葉を使うことによって「すべて『関係人口』で問題解決」といった「思考停止」に陥ってしまう可能性があることを我々研究者は常に注意深く見ていかなければならないと思う(かつてまちづくりの世界で「コーディネーターが必要だね」と言われたのと同じか?)。

 

「関係人口」について、改めて定義したり、その意義や課題について整理し、より良い処方箋を書くことが私たちに求められているのではないか、そんなことを考えた1週間である。