誠信堂徒然日記

まちづくり、地域のこと、旅行記、教育や社会問題等徒然と。

「出張月間」が終わって(前編)

8月の盆明けから、秋学期の授業が始まるまで、出張や遠出が続いた。

ざっとこんな感じである。

 

8/19-20 福知山、朝来

8/27 綾部

8/28-30 綾部

9/2 南山城

9/4 綾部

9/5 朝来

9/7-8 福知山、朝来

9/11 綾部

9/11-12 相模原、八王子

9/14-16 東京、日光

9/17-19 綾部

9/21 富山

 

全てを書くには記述量が膨大になりすぎるので、前編は911日の高校生とゼミ生との意見交換会雑感。

 

本務校と協定を結んでいる自治体が、「2020年度から10年度間の次期総合計画を予定があるので、学生さんにも協力してもらい、地元高校生の意見を集約したい」というオーダーがあったのが今年の初め。それ以降、担当職員の方にゼミに説明に来ていただいたり、何度も話し合いをしたりして、ついに本番となった。

私は、「学生のファシリテーションでワークショップを行い、対話を通して意見を引き出すこと」「総合計画策定の中で、”若者の意見を集約した”ということをアリバイ的に使わないこと」という要望を出していた。

結果、70名余の高校生を5人程度のグループに分け、それぞれのテーブルにファシリテーターとして学生、足りないところは行政職員の方に入っていただき、ワークショップの手法の一つである「ワールドカフェ」で行うこととした。

なお、話し合いの内容については、参加者が共有しやすいようグラフィックレコーディングを導入した。

 

当日。視聴覚教室に高校生、大学生、高校の先生が集まり、意見交換会が始まる。

まず、行政の担当職員から地域の概要について紹介、続いてゼミ生が、これまで1年余、フィールドとしてこの地域に入ってみてわかったことや課題等についてプレゼンテーションした。

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まずはまちの概要についての説明

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学生たちがこの地域に関わってみて気づいたことなどをグラフィックレコーディングでまとめていただきました(一部トリミングしています)

その後、ワールドカフェの開始。思いの外、最初から打ち解けた雰囲気になっている。一方私は二つの部屋に分かれて行うことになった各テーブルを回ったり、タイムキープを行ったりするのに行ったり来たりと忙しい。グラフィッカーもテーブルの参加者に話を聞いて回るなど、工夫をしている。

最初のテーブルでアイスブレークと1ラウンド「このまちの良いところ、気になるところ」、席替えをして2ラウンド「良いところを受け継いでいくために、気になるところを改善していくために自分たちができること」について話し合ってもらった。

テーブルごとのワークショップ後、を終えた後、再び視聴覚教室に戻り、話し合いの内容をお互いに共有。隣に座った人同士で話し合いの内容を振り返り、それを付箋に書き出し、前の模造紙に張り出したものを、参加者全員で見て回るというもの。

とりわけ、話の内容をイラスト等を使ってわかりやすく説明するグラフィックレコーディングに一部の生徒や先生方は興味津々。導入は成功だった!

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ワールドカフェの様子

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振り返りの内容をもとにグラレコ

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話し合いの内容がまとまりました



ワークショップ終了後、行政職員とゼミ生とで振り返りを兼ねた意見交換会を高校の教室をお借りして行う。

まずは、各テーブルででた内容を共有。主な内容として、地域の良いところとして「自然が豊か」「安全で犯罪が少ない」といったことが挙がった。一方、課題として「公共交通が不便」「買い物、遊び、勉強等をする場所が少ない」といったことが挙がった。

一方で、それがどのような文脈で出てきたのかとか、この地域の高校生たちの背景の引き出しは十分でなかった模様。例えば「まちにカフェが欲しい」という高校生の意見をどう考えるか?高校生が「カフェ」を使う目的としては、友達と話したり、勉強をしたりすることが多いはず。そう考えると「カフェを誘致しよう」というのは現実的ではないことがわかる。何故ならば、企業は利用者数や売上の予測をして出店計画を立てるからだ。ならば、生徒たちが求めているのは家でもない、学校でもない場所「サードプレース」であることがわかるだろう。だが、それは決して行政が全てお膳立てをしなければならないものでもない。民間企業やNPOが担うことだって可能だ。その場所を斡旋したり、家主に掛け合って調整したりするのが行政の役割だと言えるだろう。

 

今回の成果としては、高校を卒業すると進学や就職のために地元を離れなればならない高校生たちにとって「ちょっと上の先輩」である大学生との交流や対話の機会は必要であることがわかったことである。高校生にとっては大学生がロールモデルになるかもしれないこと、そして大学生にとっては後輩に自分たちの取り組みや考えていることを自分たちの言葉で伝えるということは自らを省察し、相対化するのに絶好の機会だと考えた。

一方課題としては、高校生の言葉の意味まで十分に汲み取り、それを踏まえた対話を行うのはやや経験が足りなかったかということである。

 

総合計画云々は関係なく、定期的にやりたい企画である。