誠信堂徒然日記

まちづくり、地域のこと、旅行記、教育や社会問題等徒然と。

2016 元日の新聞比べ読み

独身時代、正月3ヶ日は特にやることもなかったので、元日の新聞各紙を購入し、比べ読みをしていた。その年に各紙が何に重きを置くかが読み取れるのでなかなか楽しいが、家族ができて、諸々気遣いも多くなったり、忙しかったりでしばらくできていなかった。

だが、もう5年目ということもあり、適度な「抜きどころ」もわかってきたので、再開してみることにした。

読売新聞

トップは昨年から問題になっている教科書出版会社の教科書参入を巡っての学校への謝礼の件。

社説は「世界の安定へ思い日本の責務」。「対テロ連携」「安保法制の有効運用」「経済の安定」「政権の安定度占う参院選」と、現政権に寄りそう内容。新年の社説は1面の半分を使って「大上段」に論ずるのも読売的。

一方で、「新春対談」の読売新聞特別編集委員橋本五郎氏と宗教学者山折哲雄氏との対談記事はなかなか面白い。

朝日新聞

トップは特集「18歳をあるく」。今年から導入される「18歳選挙権」を意識しての特集だと思うが、今の18歳がどんな時代に生きたのかを紹介し、2面以降に繋げている。

社説は「分断される世界 連帯の再生に向き合う年」。格差、テロ等、皮肉にもグローバル化によって生まれた「分断線」をどう埋めていくかという問題提起。我が国もそれは例外ではなく、広がる所得格差、沖縄の米軍基地問題等、「分断線」は存在する。その克服のためには理念よりも実際的な解決への理解を広めることが、連帯や共感の再生を可能にすると主張している。

毎日新聞

トップは「安倍政権で改憲目指す」。それを受けて社説は「2016年を考える 民主主義 多様なほど強くなれる」。18歳から投票権を持つことになる今年、そして昨年可決された安保法を巡る議論から、民主主義について考える内容。「日本の社会は今、不達の大きな潮流の岐路に立っている」とし、「国家主導型の社会」か「一人一人が自分で情報を集め、考え、発言し、決定に参加する社会を目指す流れ」か、という問題提起をしている。毎日の主張は当然後者である。

日本経済新聞

トップは特集「アジアひと未来」。これからの成長センターとしてのアジアのキーパーソンを紹介していくようだ。

社説は「日本経済 生き残りの条件 新たな時代の『追いつき追い越せ』へ」という題。これまでの「経済大国に向けての追いつき追い越せ」から資源が少なくても、資源がなくても人材を引き寄せるスイス、国土が狭くても農業で国際競争力を持つオランダに「範を求めよ」と主張している。一貫してTPP支持を叫ぶのが日経らしい。

産經新聞

トップは「世界遺産など剥落数十件」と、世界遺産平等院鳳凰堂等、全国の文化財で昭和20年代以降に修復作業で接着剤として用いられた合成樹脂が劣化や剥落の原因となっていると他紙とは異なる趣。文化政策研究者としては気になる記事であった。

産經には「社説」と称する欄がないのでオピニオン欄からの抜粋。1面の「年のはじめに」では、「再生に向かう力の結集を」というタイトルで、現政権に「日本の底力を発揮できる環境を整え、懸案解決にあたってほしい」とエール。「正論」では中西輝政京都大学名誉教授が今年は湾岸戦争開戦から25年にあたるが、現在のテロの連鎖と難民問題を湾岸戦争による世界秩序に端を発していると見ている。

また、「産經新聞OB」の司馬遼太郎の没後20年というのを思い出した。

また、各紙とも、「18歳選挙権」の実施を控え、「18歳」にフォーカスした記事、それから昨年の「地方創生」を受けて地域活性化の事例を取り扱った記事が目立った。

京都新聞は購入できなかったので、図書館等で読んでみることにする。それにしてもコンビニ等で新聞がすぐ売り切れるようになったのは、仕入数を減らしたからなのか?