誠信堂徒然日記

まちづくり、地域のこと、旅行記、教育や社会問題等徒然と。

2017年元日新聞読み比べ

昨年あたりからボチボチと再開した元日新聞読み比べ。朝日、読売、毎日、産経、そして日経の紙面を読み比べ、検討したい(京都新聞は手に入らず)。

それにしても、コンビニで元日の新聞を入手することが年々困難になってきた。元日付の分厚い新聞を扱うのが嫌なのか、それとも新聞離れで仕入れそのものを減らしているのか・・・

今年の紙面は、昨年の米大統領選の「トランプショック」に関連づけたトップ記事や社説が目立つ。朝日、読売、毎日、日経がこのことに言及している。

まずは朝日と毎日は「トランプショック」をはじめとした、排外主義や不寛容の風潮が渦巻く世界を、朝日は民主主義、毎日は多文化主義の危機と位置づけ、それぞれ、民主主義の暴走の歯止めとしての立憲主義の意義、国際協調の意義について主張している。毎日は、米国における差別思想の台頭のレポートに紙面を割いているが、なかなか迫力ある記事。

読売と日経も、「トランプ流」が世界に拡大していくことに警鐘を鳴らす。共通点はトランプが掲げる関税引き上げ、保護貿易志向に異議を唱え、自由貿易を守れという主張。

日経は、「断絶を超えて」という新年の特集に関連する紙面。「創造と破壊」をキーワードに各分野の「変革者」にスポットを当て、取り上げている。「経済紙」として、世界の中でのプレゼンスが下がっていく日本、そしてそのことに対して変革し、再び成長するということに力強さを見出せない、現在の日本に苛立つかのような紙面は、ここ数年の傾向。

一方、今年の読売はおとなしい。あまり際立った記事やとんがったオピニオンが見られず総花的な印象。

産経のトップは「大阪万博 関西一円で開催」。大阪府が2025年に誘致を目指す「大阪万博」の会場を大阪府内の他、関西一円で開催を計画している、という記事。

見出しだけ見れば「大阪万博開催」が既成事実かのように感じさせる紙面なのはいかがなものか。また、全体的に「ニッポンすごい!」色がプンプン臭ってくる紙面。五輪に続き万博で「すごい日本をもう一度」というのが社としてのオピニオンなのだろう。

一方、面白かったのが京都地方欄の談話記事。国際日本文化研究センター教授の井上章一さんと華道池坊次期家元の池坊専好さんの「文化庁の京都移転」に関する談話。井上氏の著書『京都ぎらい』で見せた京都人のいやらしさについての言及が全くないのはちょっと意外。

その他面白かった記事としては以下の通り。

朝日は「シェアの時代」。戦後のGDPと人口の推移を見ながら、経済成長の終わり、人口減少の時代となった現在の価値観を高度成長時代の「私有、高成長、モノの豊かさ」から「共有、低成長、心の豊かさ」と位置づけ、「中古もOK、みんなで1台」、すなわちシェアリングエコノミーの時代が来ていると位置付けている。

読売は「セカンド・チャンス」。かつてベンチャー企業「ハイパーネット」を設立したものの、倒産、『ぼくの会社がつぶれた理由』の著者・板倉雄一郎さんと、元レディース、現在は少年院出身者で作る自助グループ「セカンドチャンス!」女子部代表の中村こずえさんの記事。「1億総活躍プラン」で、失敗を経験した人たちの再チャンスを支援するという施策と関連づけ、失敗や挫折を経験した人たちに立ち上がってもらい、社会の底上げを目指すための特集として連載するらしい。

また、各紙共、「天皇退位」の扱いについての記事を載せているが、こちらについては、いずれもあまり突っ込んだ議論はなかった。