誠信堂徒然日記

まちづくり、地域のこと、旅行記、教育や社会問題等徒然と。

新しい教育と地域連携

今週は、地域連携と教育についての出来事が続いたので、備忘録を兼ねて久々にブログ更新。つれづれなるままに書いてみる。

11日火曜日は、勤務校で3回生ゼミ対抗の「ゼミナール大会」。今年度は5つのゼミが、それぞれのゼミで実施している研究成果を発表するというもの。

うちのゼミは、今年度から入っている三和町大原地区でのフィールドワークで得られた成果を報告した。

今年度のゼミが始まるときに

三和町大原地区のフィールドワークを徹底して行う

・定性調査のスキルを身につける

・地域に入り、地域の課題をつかみ、地域の実情に合った提案をする

という宣言をし、それを実践してきた。

アンケートを取るといったことは実は全くしていない。ただひたすら、地域を歩き、人の話を聞き、お祭り等地域の行事や寄合に参加して地域の人の話に耳を傾けた。ほぼ1年現場に入る中で、100点満点とはいえないまでも、学生たちはいわば、「現場」という海に放り込まれた中で、もがきながらでもつかみ取ったことは少なくないはずだ。

おかげさまで、うちのゼミは、先述のゼミナール大会で「最優秀賞」をいただいた。その評価ポイントとして「フィールドワークを通して得られた地域の実情に合った提案をしていた」ということがあったが、まさにそれはフィールドワークで目指していたこと。このスキル習得にさらに磨きをかけ、カリキュラムとしても完成度の高いものを目指したい。

年明け以降、今度はフィールドワークに入った地域の方に対しての成果や提言を報告する機会を考えているが、そこでどれだけバージョンアップできるか、学生たちに期待したい。ともかく「最優秀賞おめでとう」。


今日14日金曜日は、京都市内のS高校で高大連携授業。「京都経済を活性化させるような起業をせよ」というお題に対して、グループで考えた企画を地元金融機関に対してプレゼンテーションするというもの。今日はそのアドバイザー&コメンテーターとして同僚の先生と二人で招かれた。少子化、府北部の活性化、観光、地域福祉、若者と高齢者の雇用等、課題認識はよくできていた。

それぞれのプレゼンを聞き、コメントやアドバイス、質問を投げかけていくのだが、高校の先生からも「厳しい、辛口の質問をお願いします」とのことだったので、容赦ない質問やコメントを浴びせた。

「"少子化"っていうけど、何が問題なのか?子どもがたくさん生まれたらそれで良いのか?」「"北部地域の活性化"とは何を以て"活性化した"といえるのだろうか?」といった質問に対して答えに詰まる生徒さんも…

だが、プレゼンのスキルにせよ、また内容にせよ、そのレベルはかなり高く、感心することしきりであった。私たちの質問も、別に「高校生向け」にアレンジしたつもりはなく、大学のゼミや授業で大学生に浴びせる質問とほぼ同レベルにしたつもりだ。

こうした、世の中の実際の課題解決を考えるトレーニングを積んだ高校生が今後大学や社会に出てくると思うとこれからが楽しみである。

そして、文科省の補助事業である「大学間連携共同教育推進事業」の勤務校の取り組みについても、進捗管理をしていかなければならない。

私の担当した授業では、今年度の補助事業分については、ほぼ終盤に差し掛かっている。やはり、調査地における「発見」や「課題」を踏まえた、観光企画の提案をするというグループワークをしている。こちらの発表も年内最後か年明け最初の授業で発表してもらい、かつレポート課題もしてもらう。良い発表やレポートについては、地元の方向けに発表する機会を設けたい。

さらに、出講先の授業も、10月に行った「岡崎ときあかり」のボランティアスタッフ経験という「参与観察」に基づき、発見や課題を取りまとめ、その結果をもとにしたグループワーク「京都のまちづくりイベントを企画せよ」の大詰め。こちらの発表も楽しみである。

今年度の後期(秋学期)の授業はこうしたフィールドワークによる調査結果を踏まえた地域の課題解決と提案を行う授業が偶然にも重なった。

実は2009年度に同志社大学政策学部で担当した授業が「教育GP」の一環だったこともあり、そこでかかわらせていただいたのが、「地域研究、フィールドワーク、大学と地域との連携」に関する教育研究に携わるようになった発端なのだが、「フィールドノーツ」「京大式カード」「KJ法」といった、フィールドワークで得られた情報をまとめたり分析したりする方法に関する先行研究を参考にしながらも、ソーシャルメディアの活用といった「現代的な手法」との融合を試みてきた。

まだまだ「完成」には程遠く、果てしない取り組みになると思うが、自分のなかで、それから周辺の環境も、少しずつであれ、手ごたえのようなものが感じられてきたのはうれしい。近いうちに、何かの形でまとめて、報告できればと考えている。